油彩とオールドレンズと曖昧さ。
昔のレンズを使うようになって改めて思うのが、今のレンズもカメラも、本当によく写るなぁと。
デザインで使う写真の大半も、くっきりはっきり明るくきれいに、が前提条件。そこに疑いの余地はほぼないし、販促や商業写真として考えるのなら、僕もそれは好ましいものだと思っています。
*
ただ、僕個人の趣味というか最近の嗜好としては、写らなくていいところはもっと曖昧でいいのかなと思っています。
中庸というのか、適当というのか、とにかく曖昧でグレーな感じがちょうど良い。心地よい。ホントそんなきれいにハッキリ写んなくていいからねって(笑)
本来テーブル上の被写体横にほこりが何個あるかとか、この物陰にはこんなモノがあるよなんてことまで分かる必要はないわけで。
もっと言うと、本当に写したいもの以外はトロットロに溶けて、ペインティングナイフでもりっと大味に乗せた油絵の具みたいに曖昧でいいんじゃないかなと。
重箱の隅つつくように何でもかんでも鮮明にとか、暗闇の隅々までライト当てて照らして「発見!ここにこんなのあるよー!」とか言うんじゃなくて。
そういうの暗いままそっとしておいてあげたり、トロットロに溶けてぼけてくれてるのも、趣があって良いんじゃないでしょうか。曖昧な中に宿る美ってのも確かにあると思っています。
良い意味で大味に・贅沢に絵の具を置いた、油絵みたいな写真を撮りたいです。