感動。浅葉克己さんの『アサバの血肉化』を観に行ってきました。@京都dddギャラリー
めちゃめちゃ良かったです。語彙がアレで申し訳ないですが。笑
展示を通して感じたのが、熱量の半端なさ。浅葉さん然り、このご世代のデザイナーの方の熱量は本当にすごいものがあるなぁと感じます。
2002年から書き溜めていらっしゃるという浅葉さんの日記。田中一光さんに触れられているページが印象的でした。
とくに好きだった壁面の展示。有名な広告が随所にありました。
目録は500円でお買い得感高いです。ありがたや!
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頭の中を色々な思いがよぎりましたが、特に思ったのが展示を通して感じた熱量…。ほんとムンムンしててすごい。
これは何なんやろ?と自分なりに考えたのですが、おそらく日々の思索の時間のひたむきさ、いい意味でのクレイジーさ、それから、アナログの表現の強さ、存在感。これらがもりもりっと表出してるんじゃないのかな?と。
特にトンパ文字を描かれている浅葉さんの手元(会場で上映されていた動画です)を拝見していて、あぁ、これはデジタルには表現できない世界だ…ほんでもってどれだけの集中力、情熱をこの一筆一筆に込めてらっしゃるんだろう。と思いました。(ハンター×ハンターで言ったら絶対念が出てるやつ)
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デジタルはアウトプットが楽だけれど、やっぱり出力される表現には限界がある。アプリやマシンの表現力、フォーマットの縛りの上でしかありえないんですよね。
アナログなら、紙に鉛筆で絵を描くにしても、人間の筋力とか筆圧とか地球の重力とか鉛筆の重さとか硬さ、紙の質、紙と鉛筆の間で起きる摩擦、そういう無限の組み合わせがあり得ますよね。
#ffffffと#feffffの間にも無限に色の豊かな世界があるし、人間の筆圧はペンタブみたく2048段階とかの枠に収まらないはず。w
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デジタル便利やけど頼りすぎず、もっと自由に、頭をしびれるくらいフル活用して。ほんで紙にペン持って。浅葉さんのように貪欲に表現していけたら…いや、いくぞ!と思いました。
文字組みってホントに大事。僕がデザインしたり伝えるときに大切にしてること。
いつのまにか人にデザインを教える、伝えることが増えてきて。自分でもトライ&エラー繰り返してる中で改めて思うのが、デザインは本当に文字組みが命だなぁということ。
うーん、今回は残念だな…、惜しいな…、みたいに思うとき、大体文字組みがうまくいってないように思います。
文字はテキスト情報をちゃんと伝えるっていう機能以外にも、グラフィック的な、あるいはタイポグラフィー的な見た目の美しさも兼ね備えた、すごく重要な役割を担っている子。
そして実際レイアウトしてる画面の面積のうち、文字が占めてる割合ってけっこう多いと思います。それだけ大事なものをおざなりにすると、やっぱりデザインの脇も甘くなるというか。これは自戒も込めてです。
前置きが長くなりましたが、
僕がデザインするとき、チェックするとき→こういうこと気をつけてます or 伝えたいなって思ってます
・フォントは1書体ごとに、タイプデザイナーさんがチームで半年とか一年以上とかかけて生み出してる
・そうした文字のプロが綿密に設計したものに、妙な加工しない、いらんことしないw
・具体的にはドロップシャドウ、エンボス、塗りのグラデーションなんかをデフォルト値で使わない(何か一気に素人感出ちゃうので)
・アプリケーションの「B」アイコン(擬似的にBoldにする)は切り札的に。多用しない
・太字にしたいときはBoldとかフォントファミリーから選ぶ。ウェイトないときは書体ごと変えるかあきらめるw
・ひとつのレイアウトの中にフォントあれもこれも使わない。ディスプレイ書体とかはホント決め打ちで使わないとキケン
・このあたりは多分歌と一緒。メロがあるからサビが生きる。サビばっかりだとお腹いっぱいになる(例えばクセのない本文がいい仕事してくれてるから、めっちゃ太くした見出しとか飾りのディスプレイ書体とかが生きる)
・今回は、和文ゴシックはヒラギノのウェイト違いで行く、和文の明朝体はリュウミンのウェイト違い、欧文はHelveticaとGaramond、とかレギュラーメンバー決める(思いつきで似てる別のフォントとか使わない)
・Windowsのデフォルトのフォントは基本使わない(特に和文)。フリーフォントも使うときはよく吟味する
・(Webの場合)コーディングありきで考えるのは大切だけど、表現の幅を狭めている可能性は頭の片隅に
・有名なプロユースの和文欧文フォントを自分で使って目で覚える。使われてるのにはやっぱり理由があるので
・自分の中の定番フォント作る。それも初めは有名どころがいいと思います
・英数字に従属欧文使わない(従属欧文はどうしてかもっさい。ちゃんと欧文フォントを選びなおす)
・選びなおす欧文フォントは形とかウエイトが和文と統一感あるの選ぶ
・欧文が和文よりちょっと小さくなることを理解しておく。欧文のフォントサイズやベースラインをちょっと調整してあげると良い感じ
・木を見て森を見ずじゃないけど、一文字一文字というよりかは、文字を文章とか黒の濃度のかたまり(テクスチャー)として見て、フォント選ぶ
・デフォルトの詰め情報をあんまり信じない。手詰めは大事(最後は人力w)
・0120-00-0000とかの-(ハイフン)の高さを他の数字の高さの真ん中くらいに揃える
・こんなタイトな案件やし、↑そこまでするのはなぁ…とか一瞬思っても飲み込むw
・やっぱり神は細部に宿ってると信じる
最後精神論みたいになっててアレですがw、そして偉そうにどうの言える人間じゃないですが、僕はおおよそこんな事を考えながら文字の海を泳がせてもらっています。
フォントのふしぎ、実例付きフォント字典は良い本、というお話
今年も色々な文字・タイポグラフィー・フォントにまつわる本を買いました。
その中でも、小林章さんの「フォントのふしぎ ブランドのロゴはなぜ高そうに見えるのか?」(定番ですね)と、パイインターナショナルさんの「実例付きフォント字典」は読みやすいのにためになる良書で印象に残ってます。
「フォントのふしぎ」は小林章さんの読みやすい文体に写真も豊富。なんといっても有名どころの欧文書体をこれ一冊読みこめば一通り覚えられる感じ。
うーん例えば、DiorのロゴのフォントはNicolas Cochin(ニコラ・コシャン)で銅版印刷の手掘り感あるけどメンズのDIOR HOMMEはCochin(コシャン)でシュッとしてるよね、とか。読み物としてすごく楽しい。
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「実例付きフォント字典」は、モリサワ、イワタ、フォントワークスなど各フォントベンダー別に和文がもりもり載っていて、ほんでもって商用の実例付き。どんなときにこのフォント使えばいいんやろってイメージしやすいです。
MSゴシックやMS明朝なんかのWindowsのシステムフォントの商用利用例が載ってるのがビックリ。
デザイナー駆け出しの頃、真っ先に「プロはMSゴシックなんて使わnあiで(以下略)」と先輩デザイナーに教育的指導されたものですが、これを見るとMSゴシックやMS明朝がものすごいイケてるフォントに見えてくるから不思議です。笑